Ec-Kを入手しました。

「Ec-Kってなんぞや?ネットで調べてもあんまり情報ないよ?」ってな方もおられるかと思いますので、一応説明を。

Canonの1系/1D系のカメラの交換用フォーカシングスクリーンをEc系と言います。その中の1つがEc-Kです。タイプとしてはブライトレザーマットと呼ばれるものです。

はい、ぶっちゃけこれだけです。これではなんのこっちゃなので詳しく説明していきます。

Canonのフォーカシングスクリーンには5タイプあり、それぞれは次のようになっています。

タイプ 特徴 主な種類
レザーマット 標準スクリーン Ec-A/Ec-B/Ec-C/Ec-D/Ec-H/Ec-I/Ec-L
ニューレザーマット ピントの山のつかみやすさを若干犠牲にしている変わりにファインダーが明るい。 Ec-N/Ec-R
ブライトレザーマット ピントの山のつかみやすさを完全に犠牲にしているがファインダーが格段に明るい。 Ec-K
プレシジョンマット*1 ファインダーの明るさとピントの山のつかみやすさを両立させたモデル。 Eg-A/Ee-A
スーパープレシジョンマット ファインダーの明るさを犠牲にピントの山のつかみやすさを追求したモデル。 Ec-S

1に標準採用されたのがレザーマットのEc-Cです。次モデルの1NではEc-Cのマイナーチェンジ版のEc-CIIが採用されました。1Nの高速連写モデルである1N RSではペリクルミラーに由来するファインダーの光量減少を軽減するために、ニューレザーマットのEc-Rが採用されました。
3では今までのレザーマットではなくニューレザーマットのEc-Nが標準採用されます。この3は1Vの実験バージョンのような物で、ほとんどの機能*2が1Vに引き継がれましたが、スクリーンだけは引き継がれず、再びレザーマットのEc-CIIIが採用されました。
ニューレザーマットはファインダーの明るさは改善される物のピントの山が若干見にくく*3なります。また、スクリーンの散光特性が特殊で、レンズの開放F値によって見え方が変わる*4という、嫌な特性があるので、嫌われたのかもしれません。
それ以降はデジタルになりますが、1Ds/1DはEc-CIII、1Ds2/1D2/1D2NもEc-CIII、1Ds3/1D3/1D4はEc-CIV、1D XはEc-CVとずーっとレザーマットが採用されています。

APS-C系のデジタルではプレジションマットが採用されました。ニューレザーマットの嫌な特性を改善したものと思ってますが改良点などの詳細は不明です。フルサイズの5D系/6Dでもプレジションマットは採用されました。1系比べるとファインダー倍率は低い*5ので、その対策でしょうか。

ピントの山を重視したスクリーンもあります。それがスーパープレジションマットです。設定されたのは1D2Nからです。ピントの山を優先する変わりにファインダーの明るさを犠牲にしているので、開放F値が2.8より明るいレンズでのみ使用が推奨されています。普段使いだとファインダーが暗くなるばかりでこれといったメリットはありません*6

今回入手したEc-Kはファインダーの明るさを最大限追求したものになります。Ec-C比で+1段*7、Ec-N比でも+0.5段は明るいスクリーンです。
1Nの頃にはすでに生産終了していた珍しいスクリーンで、入手はかなり難しい代物です。

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これがEc-K。珍しく元箱から取説まで一式全部そろった物が入手できました。お値段は1,000円。お安いですねぇ。

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こちらが中身。

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早速取り付けます。

1つ注意。このEc-K、取り付け用のノッチが付いておらず専用の台紙に乗せて装着する形になります*8。そのため取り付けだけで取り外しは不可。もし、取り外す場合はサービスセンターに依頼する必要があります。

取り付け後はカスタムファンクションを設定する必要がありますが、Canonによるとニューレザーマット用に設定する*9*10とのことです。3だと標準でCF.0が0*11になっているので変更の必要は無しです。ちなみにこのファンクション、スクリーンごとに異なる開放F値ごとの散光特性の差を吸収するためのものです。もともと非対応の物を装着するので、CF.0-0で特性はドンピシャになるのですが、常時+2/3段オーバーになる*12のでその分だけ補正してやる必要があります。完全に、このスクリーン専用にするならサービスセンターで内蔵露出計を調整してもらうのも有りかもしれません。

スクリーンの明るさは段違いです。望遠レンズとの相性は最高です。望遠レンズユーザーで入手できる機会がありましたら、使ってみるのも良いかもしれません。

*1:1系、1D系では設定無し

*2:視線入力AFは除く

*3:レザーマット比。もともとEOS自体がピントの山はよくわかりません。

*4:本当にわずかな違いですが、暗いレンズほど余計に暗くなります。

*5:1系は0.76倍、5D系/6Dは0.71倍

*6:Cosina Zeiss(ZE)との相性は最強です。

*7:Ec-Cも世代を重ねるごとに少しずつ明るくなっています。それでも最新のEc-CVよりは格段に明るいです。

*8:こんな特異な仕様はこのスクリーンだけです。

*9:http://photo.site-j.net/tubuyaki/vol287.html

*10:このスクリーンが現役時代の1、1Nだと設定すらないので、補正表を見ながら合わせるか単体露出計を使うしかないです・・・。

*11:スクリーン設定(CF.0)がニューレザーマット用(0)。

*12:http://photo.site-j.net/tubuyaki/vol287.html